株を利用するなら

決算書がよいとか悪いというのは、なにかと比較してはじめていえることなのです。 比較する対象としては、まずその企業の過去の決算書が挙げられます。
過去の決算書と比較することで、その企業がよくなっているのか悪くなっているのか、推移が簡単にわかります。 当然、悪くなっている企業は投資対象にふさわしくありません。
また、同業他社の決算書、あるいは、業界の平均の数字などと比較してみることも重要です。 これらと比較することによって、その銘柄の割安度を判断することができます。
株式投資には、大きくわけて、割安株投資という考え方と成長株投資という考え方があります。 割安株投資は、指標数値(業績財務の数字)から見て、その銘柄の本来的な価値を想定します。
そして、本来的な価値とくらべて割安(相対的に安い)な価格になっている銘柄を探して、それが本来的な価値にあった株価に戻ることを期待して投資するスタイルです。 一方、成長株投資とは、企業の成長性、将来性を想定し、期待できる成長度が高い銘柄に投資するスタイルです。
この両者には、どちらも一長一短があって、バランスよく分散投資をするのが本来よいのですが、初心者の方には割安株投資をおすすめします。 割安株投資は、もともと割安になっているため、それ以上に株価が下がりにくい、つまり比較的ローリスクローリターンだからです。

また、比較的低額な株が多く、少額投資の対象にも向きます。 本来的な価値を求めたり、同業他社と比較するためには、共通の基準が必要です。
これは、単純に決算書の数字をそのまま読むだけでは見えないものです。 たとえば利益が1億円の企業と2億円の企業があれば、後者のほうが儲けている、ということになります。
しかし、前者が売り上げが10億円、後者が100億円だとすると、前者は売上高の10%も利益になっている高収益企業ですが、後者は売上高の2%しか利益になっていない低収益企業です。 収益率という考え方からすれば、前者のほうが優れているということになります。
このように、決算書などから得られる数字を加工して、比較分析に適するようにしたものが投資指標です。 投資指標を使うことで、はじめて正確に銘柄の比較検討ができるようになります。
もっとも広く使われている投資指標は、PERとPBRです。 株価収益率といいます。
PERは株価が企業の収益力(稼ぐ力がどれくらなのか)の何倍になっているのかを比較するための指標です。 損益計算書のところでも述べたように、企業の第一の目的は利益を残すことです。
そのため、利益を基準にした指標であるPERは、真っ先にチェックされます。 PERを計算するためには、まず株当たりの利益を出します。
株価を分析する際に会社全体の価値と株当たりの価値を区別することは非常に重要です。 会社によって発行済み株式数が異なりますので、共通の土俵で比較できるように、まずは株当たりという単位に分解します。
株当たり当期利益(EPS)=当期利益÷発行済み株式数となります。 A社が当期利益10億円、発行済み株式数5000万だとすると10億÷5000万となり、EPSは20円になります。

そして株価をEPSで割ったものがPERです。 単位は倍です。
株価収益率(PER)は株価÷株当たり当期利益で計算します。 A社が株価500円、株当たり当期利益20円だとすると、500円÷20円でPER=25倍となるわけです。
この数字の理解の仕方ですが、A社の例でいうと、1株について1年で稼いだ利益(EPS)が20円、そして、1株の値段が500円ということは、500円を元手にして、1年で20円を稼ぐということです。 逆にいうと株価は25年分の利益を先取りしている、ということになります。
つまり、PERが高いほど、長い年月の利益を先取りしていることになり、割高だといえます。 PERが高いほど割高、PERが低いほど割安、と覚えておきましょう。
上記例では、A社は株価が高いですが、PERが低いので割安です。 PERは、利益の点から株価が割高か割安かを比較するための指標ですが、業種によって標準的な利益率が異なるので、他業種の銘柄同士をPERで比較してもあまり意味がありません。
同業種の銘柄同士を比較するのが正しい使い方です。 また、PERは、何倍が適正かははっきりとはいえません。
ひとつの目安としては、大体20〜30倍だといわれますが、あまり根拠はありません。 ただし100倍を超えるように極端に高い場合は、明らかに割高であると判断できます。
PERと並んでよく利用される基本的な指標がPBRです。 PBRは、日本語では株価純資産倍率と呼びます。
PERが利益の面から株価の割安・割高を判断する指標であったのに対し、PBRはその名の通り、帳簿に記載された資産の面から株価の割安・割高を判断する指標です。 PBRは、底値のメドとなるPBRの計算も、まずは株当たりに分解した数値を求めることからはじまります。

まず、貸借対照表の株主資本(総資産から負債を引いた、純粋な株主の資産)が株当たり、いくらになるのか計算します。 株当たり株主資本(BPS)=株主資本÷発行済み株式となるわけです。
そして株価をBPSで割ったものがPBRです。 単位は倍です。
株価純資産倍率(PBR)=株価÷株当たり株主資本となります。 株主資本は株主のものです。
理論的には、会社が解散すれば株主資本は持ち株数に応じて株主に配分されます。 つまり、株について配分される金額が株当たり株主資本です。

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